脂肪吸引はボディデザインです。
ただやみくもに脂肪を吸引して細くする事だけが目的ではありません。
吸引すべきところはしっかりと吸引し、残すべきところは残す。
また、しっかりと吸引する部位であっても、吸引ムラや浅い層を取りすぎてはいけません。
経験値の浅い医師が行えば、大きな凸凹やバランスの悪いボディラインになってしまう可能性があります。
そのため、医師選びは慎重に行う事が望ましいでしょう。
また、脂肪吸引は麻酔を含めしっかりとした安全管理のもと行わなければなりません。
実際に安全に、かつバランスの良いボディデザインを行うための脂肪吸引のポイント・テクニックを解説します。
クリスクロス法についてクリスクロス法とは脂肪吸引のにおいて数少ない確立された吸引方法です。
脂肪吸引はカニューレという細い管ひとつで脂肪を吸引していく手術です。一つの穴から吸引していると、カニューレの可動の範囲・方向が限定的になってしまいます。
また、身体は曲面であるためカニューレが届きづらい部位も存在します。この点を理解せず、手術を行っていると均一な吸引にはなりません。これを補うものがクリスクロス法です。
クリスクロス法は一つの吸引範囲に対し複数の方向からカニューレを操作する事で、吸引ムラを抑え均一な仕上がりへと導きます。
また、均一に吸引する事で吸引ムラも少なくなり、結果として吸引する脂肪量も増えることになるため、特に、しっかりと吸引すべき部位においては必須のテクニックになります。
カニューレ、吸引圧の使い分け身体は曲面であるため、クリスクロス法を使用しても直線的なカニューレではどうしても届きづらい範囲もあります。
そのような部位には先端がカーブしているカニューレを使用する事で体のラインに沿って吸引を行う事が可能になります。
また、脂肪吸引は丁寧に行う事は大前提ですが、手術時間が長く掛かりすぎるてしまうと、合併症のリスクも高まるため、効率よく吸引する事が重要です。
脂肪吸引では、まず、深い層にあるLFDから吸引する必要があります。
LFD自体は比較的血行に乏しく、豊富に付いている方も多いため、深い層のLFDを吸引する際は、吸引圧を高めにし、径の大きめなカニューレを使用する事でスムーズに多くの脂肪を吸引する事が可能です。
その後、中間層→浅層にかけて、カニューレの径や吸引圧を微調整する事によって仕上げていきます。
様々な彫刻刀を使用しながら削り上げ、彫刻物を完成させる事と似ている事からも脂肪吸引はボディデザインと呼ばれているのかもしれません。
メリハリのあるボディデザインを脂肪吸引は細くならなければ意味はありません。しかし、吸引量を増やす事ばかりを意識してしまうと、バランスの悪いボディラインになってしまいます。
ギリギリまで吸引すべき部分と控えめに吸引すべき部分を理解する事でキレイな仕上がりとなります。どの部分をギリギリまで吸引するべきか、どの部分を控えるべきかを見極めながら手術を行います。
太もも、二の腕などそれぞれの部位でのポイントを個別に説明していますので参照下さい。
安全な麻酔管理手術の痛みは脂肪吸引を行う患者様の殆どが心配される事でしょう。
脂肪吸引で行われる麻酔方法としては、全身麻酔・静脈麻酔・硬膜外麻酔などがあります。
勿論、どの麻酔方法にもメリット・デメリット(リスク)はありますし、特にこの麻酔法が優れているということもありません。
重要な事は、麻酔をかける医師が最も得意とする方法で行い、万が一の場合にもリカバリーが可能な状況を作っておく必要があります。
当院では、基本的には静脈麻酔を使用し、必要に応じて吸入麻酔(笑気等)を使用します。
手術部位にはtumescent液という局所麻酔を使用します
この麻酔法では、手術中は患者様は眠っている状態であり、手術中の痛みを感じることもありません。
患者様に痛みを感じさせないことは、患者様自身のメリットだけでなく、手術を行ってる医師にとっても大きなメリットがあります。
痛みを感じなければ、無意識に患者様の体が動くこともないため、手術自体がスムーズに進行します。
また、痛みを感じてしまうと、手術中の患者様の呼吸器系や循環器系にも影響を与えてしまいます。
そのため、患者様が無痛で手術を受けられるという事は、手術のスムーズな進行、術中の安全面から考えても非常にメリットが大きのです。
術後の圧迫とマッサージの重要性脂肪吸引の手術後は皮膚の下にスペースが出来たり、皮膚が一時的に余剰した状態になります。
術後のスペースを放置してしまうと、そこに瘢痕組織が増生し、しこりの様になったり余剰した皮膚がタルミの様になってしまう可能性があります。
そのため術後の圧迫は非常に重要になってきます。
まず、皮下のスペースが埋まるようにしっかりと圧迫をすることは勿論、皮膚がずれた状態で皮下組織と癒着してしまうと、シワになったり、凹凸になってしまったりします。
そのようなことが起こらない様にしっかりとした圧迫指導を行っておりますので、患者様ご自身も指導を受けたそのままに圧迫ができるように頑張っていただきます。
また術後は皮膚の硬縮や皮下の瘢痕組織によって、一部が硬くなったりしこりの様に感じることがあります。
この現象自体は生理的なものなので問題ありませんが、これを放置してしまうと瘢痕組織が消失せず、凸凹の原因となる可能性があります。
そのため、術後は硬い部位や特にしこりに感じる部位などがあれば積極的なマッサージを行い皮膚を馴染ませる事が大変重要になります。
マッサージ方法も指導いたしますので、ご自身でも術後のマッサージをしっかりと行いましょう。